AUTO JAM

Guitar Craft
MODEL-J3

2005年・・・3号製作は始まりました。
今回も明確なデザイン案は無いままスタート。また作業しながらの思案となりそうです。 毎度同じ製作行程で代わり映えしないので、変更点を中心にアップしてあります。

MODEL-J3

さてメイキングは省略して、仕上がった「Model J3」のパーツです。
3プライ、フレイム・ミディアムボディ仕様です。
ディープにするつもりが、間違えて幅がミディアムになってしまったんですけどね。。。ま、データ取りには結果オーライと・・・

MODEL-J3

ネックは、軽量で激フレイムです。快心の一本!
質量を下げる為に、使用するペグ高ギリギリに、ヘッドの厚みを薄めにしてあります。
これまたよく見える部分にフレックが出ましたけど愛嬌愛嬌。
つくづく相手は自然のモノだなーと実感。

MODEL-J3

さらに今回の異色な仕様は、エボニー指板に斜のフレイムが入ったモノを使用してみました。
本来なら、絶対に使わない除外されるべきモノです。
長い間、アイモクさんで眠っていた材で、 特に反りなどの動きも出ていないようだったので、思いきって使ってみました。
「こんなのもあるよ」って、勧められたという事もあるけど・・・
これぞ、オールフレイム・ギターなんて・・・弦を張ったらほとんど目立たないかも。

MODEL-J3

このJ3は、ユルユルのネック接合精度に、すき間スペーサーでのセット。薄めのネックの厚み・・・ すべてビンテージを意識した仕様にしてあります。
後々のネック浮きを恐れていたら、何もできないから~

2009年一発目の更新!

MODEL-J3

装飾に悩んで1年を手付かずで棒に振ったJ3。
J2と違った路線で、洋物デザインを狙っていたものの、案が詰まり、結局馴染みのある和物で開始。今度こそ貝のインレイをやる事に決めました!
多くのピース数を要するので、原貝から購入して板状にするところから開始です。

MODEL-J3

主に使う貝は、グリーンアバロンで、あとはレッドアバロン、ピンクアバロン、あわび貝、黒蝶貝、茶蝶貝、白蝶貝といったところです。
デザインは「龍」を一匹入れますが、全体案は追々公開していくとして(またしても見切り発車の為)、数が必要なウロコを切り出してます。
こういう同じ形状の物は外注でマシンカットしてもらうのが得策ですかね。。。

MODEL-J3

まずは、龍の顔から攻めています。これで12ピースですが、ノーズなどもう少し切り分けて表情を出したいと思っています。
インレイって。。。なにが大変って、デザインに合わせて貝の柄を選定する事にすごく時間をとられます。
ま、それが醍醐味でもあるのですが、切り出した数に限りのあるピースからでは「これだ!」という理想通りのモノは多くありません。
各ピースの反射角度も考えながらのトリミングも仕上がりを大きく左右するので、机でじっと選定してる時間といったら・・・「ギターを爪弾く時間」などとても持てません。。。

MODEL-J3

違う角度からのショットです。
また最後に見直しで修正もあると思いますが、どれだけ詰めても最終的にクリアーが乗って貝特有の輝きがグッと出ると、また思惑と違う表情にならなければいいなーと心配も尽きない作業ですね。。。インレイ恐るべし。 初の大作、やっぱり1年がかりの作業になりますか・・・。
これからも永い目で観てやってください。。。

MODEL-J3

やっぱりメキシコ貝が足りない!二度目に仕入れた貝がイイ柄じゃなかった・・・
仕入先(というか産地?)で色合いがガクッと違ったので、また最初の良かった仕入先から取り寄せてみました。
早速、少し板にしてみると・・・色・柄が多種になって、アレコレと目移りです(笑)
2センチのパーツ選択の為に丸貝を削り倒す。。。そんな作業の結果にイイものが採れる・・・こんな至福感はありませんな。

MODEL-J3

頭部を積み重ねて仕上げてみました。ヘンかなぁ。。。
これで33ピース。顔部分の残り半分でも同じくらいのピースが必要になりそうです。
この後、ツノやキバに使う象牙と、舌に使う赤サンゴの到着待ちです。
一通り終えてからの話ですが、立体感を出すためにエアブラシで影を入れようと思っていましたが、 デザインが細かい部分は無理そうですね。。。。
なるべく平面ぽくならないように工夫するのみです。

MODEL-J3

鼻部分にぴったりのピースが取れたので、ここは細かい細工をやめて自然の柄のみでセット。
ツノに象牙を配置してみるも・・・うぅむ、貝で影を作り出すか、いっそ象牙をやめてみるか・・・。
それにしても、はじめて触る象牙。
これ削ったら貝とは比較にならない匂い!
アレですよアレ! 匂いが、まんまニカワ。あれは湯気の匂いですが、今回は削り粉が舞って・・・うぅぅ、風上に退散!
想像してはいたけど、貝にサンゴに象牙・・みんな削ると臭い~~。これも経験w

MODEL-J3

前のページ('09年更新)から、2年も停滞してたんですねぇ。
そのまた以前も、装飾の構想に1年間あまり手付かずで、結局3年の休息。。。
いよいよギターアーチへの均一な彫り込み作業です。 甲板の状態で作業すべきだったのか、なんて事を考えながらやってます。
上に見えるは、老眼鏡。。。そうです、大きく変わった環境、目が見えない-_-"

MODEL-J3

まずは、手彫り。
とりあえず、真ん中のプライ板が見えてなお、少し掘り込んで深さは1.2ミリくらいに してみます。インレイの厚みを1ミリ厚に揃えれば、余白マージンをレジンでコートできると考えています。
ボディバックへの大きなインレイは、振動を抑制する異物になるのでしょうが、あるアコギ製作家の方のwebで、「インレイ物は、その特有なトーンを持つと感じる」との記述に、なんとなく救われた気持ちで、 その影響も悪い方向ばかりでない事を祈っています・・・

MODEL-J3

トリミングは大雑把に行い、インレイを貼り付けながら、エッジの処理を考えるとします。
なにしろ、全てが初の試み。たいした工法や腕前があるでもなく、失敗時のリカバリーも、なんとかなるさの 意気込みでトライあるのみ。
うん、まぁまぁじゃないの。とりあえず、一段落。次作業への意欲も沸いてきます。
ドラゴンの顔部分が決まれば、あとは何とかなりそうなのも、見えましたね。ほっっ。

MODEL-J3

途中のピースの厚みをサンディングする画像が抜けていますが、粉だらけになりながら、1ミリ厚にそろえました。
また、厚みを落としたことによる、ピースのハメ合いの修正にも予想通り時間がかかりました。
やはり、アーチに合わせてピースの接着面を、ひとつづつサンディングするという荒業ゆえ、集中力をキープするために休憩と、コーヒーの量が増えます。

MODEL-J3

最近さらに感じますが、こういったインレイ作業やギター作りに関して、0.1~1.0ミリという厚みの差を、器具による 測定でなく、まず感覚で感じられる事は、かえって精度や作業スピードを大きく貢献するものと思いますし、仕上がりの差が顕著に現れます。
その精度の世界に、まだ自分の目や指先が通用すると言いますか、そこに、老眼鏡を使ってでもまだ居られる事を、感謝しつつ作業してます。

MODEL-J3

ツノ部分の象牙が、単調な色彩なので、影をつける為に細かく切り抜いています。
ミシンですよ。感覚はミシン。 「進んでは戻り」の作業は、イメージを膨らませながら、形どられていく様を楽しむ事ができます。

MODEL-J3

だいたいのセットが完了して、一息。。。
この先、どうなっていくのかが、自分でも見えないところが不安でもあり、次への努力につながりますね。
ひよっとしたらこの先、意外な難所が待ち構えているやも知れません。
休み休み、慎重に進めましょう。。。

MODEL-J3

前回から1年経過。2012年ゴールデンウイーク、作業開始。。。
ようやく気候もよく、時間が取れて久々の作業に。
ギター本体の掘り込みと、ピースの厚みで帳尻を合わせていく、という作業が続きます。
ピースが動いてハメ合いが決まりにくいので、中央部分だけすでに接着しています。

MODEL-J3

むぅ、ピースのハメ合いの調整中、ピースをひとつ、折ってしまった。。。
作り直しに、いい柄が選定できる事を祈ります。
しかしこの作業、ギター本体への輪郭の彫り込みに、今ひとつ精度が出ないのが残念。ヘタだな・・・自分
CAD等を使ったような精度と反対に、古来先人が表現してきたような手法による、荒削りな躍動感とでも言うんでしょうか、求めるところはソコですし、すき間を黒檀の粉で埋めてアウトラインに見せるなど、あとの帳尻も考えつつ進みます。

MODEL-J3

ピースを甲板の上で削っては、厚みをチェックして、接着面のガタつきを無くしていきます。
貝の削り粉はとても 細かく、すぐにサンディングペーパーの目を詰まらせますので、少し削っては掃除機でペーパーの掃除が必要です。
もとよりギターづくりには切削・研磨という工程が多いため、耳うるさい掃除機本体を遠くに置けるように5メートルのホースと、リモコン付きの集じん専用機を購入してよかったと、作業する度に恩恵を感じます。

MODEL-J3

写真サイズは、実寸のつもりが拡大になっているようです。
ピースが入り組んでいるので、1年も放置していたら、どこのピースだったか 忘れるところでした。
いやぁしかし、細かい作業ゆえ、作業中何度か呼吸を止めてしまいます。
ふと時計を見れば、たかだか3、4ピースのハメ合い調整に3時間が経ち、その日のモチベーションは高品質を保てるとも思えず、作業終了。
これまた永い道のりと知る。 「精魂込めて作る」 生涯の後半に手掛けるには、ちょうどいい趣味だ。。。

MODEL-J3

まだ顔部分の作業が続きますが、この時点でだいたいの掘り込みを終えました。
足りないピースを作り終えたら、接着していきます。
日本の龍らしく、目に黒点を入れるつもりですが、これまた愛嬌のある顔になるので、その位置には神経を使いますね。
龍について、特徴を抜粋しますと、「角は鹿、頭はらくだ、眼は鬼あるいは兎、身体は蛇、腹は蜃、背中の鱗は鯉、爪は鷹、掌は虎、耳は牛にそれぞれ似るという」

MODEL-J3

光の角度を変えてみると、色の濃淡が出て、貝の良さが出てきますね。
いちおう、ヒゲ類と、顔部分の反射方向をそれぞれ統一しましたから、仕上がってからその反射効果が出るとありがたいですね。
つづいて角の陰など、ピースの作りこみに入ります。

MODEL-J3

2本あるツノの影になる部分のピース作成に取り掛かります。
頭部のピース作成の時に次ぐ、細かい作業です。影部分を凸凹にカットしたはいいけれど、それに合わせて研磨するのが大変。
つかみにくいサイズに加え、強くつかんだり荒い研磨をかけると、折れてしまいますからね。指の皮ごと、コスリながら調整中です。。。

MODEL-J3

ピース同士が思うように組み合わさった時、大きく深呼吸ですよ。
このツノの素材は、キバと同じ象牙を採用していますが、キレイ(白)すぎて、影とのマッチングが 悪いですねぇ。。。エッチングで模様をつけるか、他の材も取り入れてもっと自然に作りこむ必要ありです。

MODEL-J3

ピース同士のハメ合いの次は、ボディざぐりとの帳尻あわせです。ピースを削り、ざぐりを削っては、ピッタリに追い込みます。

MODEL-J3

あと3ミリほど貝のサイズが足りず、先端の、吹けば飛ぶようなピースを作る羽目になり、位置あわせでさえ、もはや指ではできません。

MODEL-J3

どうやって削ったかって? 想像通りです。いろ~んな方法で悪戦苦闘しました。
幾度と無く指から落ちて見失うたびハラハラしながら落ち着け落ち着けと、自分との戦いでした。イライラは禁物。。。
しかし、結果どんぴしゃ合うと笑顔になれる。すべてが報われる瞬間ですね。多くの時間は、その至福の時のための困難ですから。人生はチャレンジです。

MODEL-J3

うぅむ、角度を変えてツノの状態をみると、やはり何か策を練る必要アリです。
web検索などで、良い表現手法が見つかるまでツノはまだ接着しません。

MODEL-J3

ふぅ。。。いつも部分的に目が慣れてしまいますから、こういうものは、日を置いたり、遠くから眺めたりして新しい発見に出会える事を願います。
ピースを糸ノコでカットする時、3つも飛ばしてしまい、紛失。。。インレイの呪い、今回はそれが一番の敵だった。

MODEL-J3

ネットはありがたい。象牙への加工手段、見つけました!
象牙は、ナイフやGunのグリップにもよく採用される事もあって、よく装飾を施された作品を見ます。
「エングレープ(engraving)」という手法のひとつになるのか、針で突く点画のような「スクリムショウ(scrimshaw)」という新しい言葉を発見。
なになに、工具もいたってシンブル、針と墨だけだ。
わくわくしましたね。知らない分野に挑戦。結果はいいに越した事はないですが、やはりそのプロセスが楽しい訳です。
まな板もどきのどっしりした作業台をこしらえてと。。。

MODEL-J3

まずは練習。うぅむ、ルーペが小さすぎた。片目で見ていると、疲れが大きい。。。
彫りたい図柄を貼り付けて針を打つのが常套手段ですが、今回は、模様というか陰影を表現したいだけですから、臆せず適当にやってみるとします。
針先の砥ぎ具合で、仕上がりに違いが出そうな感じです。ツンツン・・ツンツンツン・・・指がつる。。。

MODEL-J3

打ったあとに墨を入れて、拭き込みます。なるほど、濃淡も密集具合いと打つ深さで変わるものです。
黙ってもくもくと、ツンツンしていると、アッという間に2時間です。そこそこに終了っ、また明日。
このスクリムショウもまた楽しい趣味ですね。インドアで手軽なので、興味がありましたら、やってみてくださいな。

MODEL-J3

届きました、便座のような器具。
(いやぁルーペじゃとても疲れましてね、老眼鏡 + ルーペですから。。。)
以前ホームセンターで見かけたとき、1万円ほどしたんですよ、作業用拡大鏡。
それがたまたま、いつもの自動車工具通販のカタログに新登場、それが5千円以下!! 到着したところ、この大きさに驚き。いいじゃないLED付き!コレおすすめです。

MODEL-J3

レンズ保護用の便座カバーを開けて、スイッチONで、おおぉ、十分な視界と光度が!
がぜん作業欲が沸いてきます。 しかも、ローガン鏡なしでイケます。喜び。
お客さんに、「何するんですかそれ?!」って、問われ答えました。
「ギターづくり用にね」
それじゃ意味わかりませんね、はい。。。

MODEL-J3

見やすくなると、余分にツンツンしてしまいますね。拡大鏡に感謝。店でツンツン、家に持ち帰ってツンツン。
裸眼で昔のようにハッキリ見える事も、この作業意欲に寄与していると思います。
拡大鏡によって、今まで以上の「精度が出る」。この感覚はとても新鮮です。
龍のピース作るときに使えたら よかった。。。じ・・次回こそは・・・@@

MODEL-J3

適当に打ってみましたが、どうなんだろぅ。。。濃淡が薄いかな。
黒と違う色を入れるっていうのも、アリだな。
墨を入れては、濡らした布で拭き取る作業を重ねていると、象牙の表面が水分で柔らかくなって、針が深く入ります。感触もプラスティックに針を打っているような感覚。バリも出始めます。
なにより、墨が浸透して表面が拭き取りきれず、汚れ感にイラだち。結局最後に表面をペーパー研磨しました。
こんな事、どこのWebにも書いてなかったぞ~!
「核心は手を汚す者のみぞ知る」

MODEL-J3

さぁ、これからまた長い取り組みになるウロコの作業に入ります。
以前用意したピースを取り出してきて、並べてイメージを膨らませてみます。(いつもの場当たり的な。。。)
龍の顔が多彩なカラーで美しいのはヨシとしても、ウロコは地味でいいんじゃないか?・・・
これって、アレですよね、「自分の中のルール」。
この装飾のサイズから想像するすべての、表現の深さ。 遠近感やデフォルメのレベル。何かのコピーと違いますから、すべては自分の裁量、ルールって事です。
特に想像の動物の龍ともなると、自分のカラーが出る訳です。
インレイという色の制限や、反射という難しい制限の中、妄想に費やす時間も大きなものになります。
「ザ・ジャパン」的な龍にしたいですからね・・・うぅむ・・・

MODEL-J3

黒蝶貝の板づくり。。。また素材を購入して削り出しから開始。
今回はもう厚みもバンドソーで落としてやる。数がハンパやないからね、指が切れるか貝を切り倒すか勝負っ。て、手袋切れてますけど。。。
貝なんか切りますとね、バンドソーの歯はヤラレちゃって、木材を切る時、使い物にならなくなってます。
しかしコレ、危険ですからマネしないでください。

MODEL-J3

そして厚みの追い込みに、野外でグラインダー研磨。
これが大変。また粉と匂いと格闘が待っているとは。。。。
できる事なら、もうやりたくなかった作業。しかし板状に加工された貝の高価な事、まともに板で調達してたら、この素材代だけで、けっこうなギターが買える。
節約のために労力と時間を費やす。「プライベーター強し」。おかげでヘッドインレイ程度の素材なら山ほど在庫です。。。 「貝くん」の称号も甘んじて受けるとします:D
あぁ、野外では置いてある解体車が作業台代わりに役立ちます。サメカマの作業台;P

MODEL-J3

ほんと、ヤケドしそうになるし、粉で髪の毛ガシガシだしで、帰宅する頃にはヘトヘトです。
よくよくギターづくりって環境汚染が気になります。
もともと歩留まりの悪い(素材の無駄が多い)工作で、木材のくず、塗装、貝粉など、プライベートでは、ゴミとして収集できない部分も多いです。早めに切り上げよう。。。

MODEL-J3

とりあえず大きいウロコ用に150個。半分はアバロンで、半分は黒蝶。
黒蝶は、シルバーから、エッジにかけて黒くグラデーションが出ている部分を使って切り出していますので、立体感が出る事を期待しています。
切り出してみるとハイライトに使えそうなシルバー・ピースと、影に使えそうなダークなピースがうまい具合に混在しています。

MODEL-J3

さていよいよ肝心のピースのチョイス。反射の方向をそろえたり、フリーハンドでハメ合わせを揃えていく作業です。
柄の無い素材となると、隣り合う色が少し違うだけで明らかに目立ちますので、今回に必要な均一性を克服できるかという(小さな)旅に出ます。。。

MODEL-J3

アバロンは、強調したい部分に効果が出る事を願います。
反射の方向をじっくり見て、効果的にレイアウトできると いいですねぇ。
どちらの貝も、そのウロコのすき間を埋める色(輪郭になる線)をどうするかが、場当たりパート2。。。
大小のウロコを見ていると、グレッチ指板のサムネイル・インレイに見えてくる。。。

MODEL-J3

工作ナイフでスジ彫りのあと、胴体の彫り込み作業中です。
手作業なので、深さは「適当」。最終仕上げの時、貝の厚みで調整します。
取り組む作業時間をなるべく長く、根つめることで「感覚」の精度が上がりますから、この7月、暑い時期も鋭意取り組み中です。

MODEL-J3

ツノから背中のヒレあたりの入り組んだピースの追い込みに、意外に苦戦。
このところ、何度かピースの作り直しを強いられております。なんかね、なにか柄が気に入らないんですよね。。。
そしてまた1歩進んで2歩戻る。
先日、仲間と「こんな大変な作業を、よくやるよな」という話をしていて気がつきました。全体の流れは、本業の外車修理そのものなんですよね。遠回りでもコツコツといくつもの部品を外し、手間がかかろうが、手にキズを作ろうが、目的の為にモクモクと追い込んでいく。。。いつもの事をまた趣味でも展開・・・
休まるヒマ無いやん・・・

MODEL-J3

先は長い。
この試行錯誤もまた、オツじゃありませんか。
ローマは1日にしてならず。未完成ゆえの 想像が次なる制作意欲にもつながるってもんです。
ウロコひとつに、1時間を費やす。300個あったら、300時間。 誰もマケてくれませんからね、遠くを見ちゃダメです。
目の前のピースに全力を尽くす・・・
イキじゃねぇか、ちくしょうっ
ちと疲れてる模様・・・

MODEL-J3

背中のヒレは茶蝶貝、腹はアバロン(表側)で再現、そしてウロコを敷き詰めていきます。
ぅうむ、ウロコの輪郭になるすき間の取り方が難しい。
「龍の持つ81枚のウロコのうち、あごの下に1枚だけ逆さに生えるモノを逆鱗と呼び、それに触れられることを非常に嫌い、触られた場合には激高し、触れた者を即座に殺すとされた。」
それが「逆鱗に触れる」の由来だそうです。

MODEL-J3

ウロコ作業を、なめてかかってた。。。
端に使う3ミリ程度の三角形状が、まぁ切り出し難い事っ。
ウロコの始まるこの首のパートでは、失敗・紛失が多く、柄がランダムになってしまった。。。
出来栄えからは、苦労が見えない部分と知る。
本当に1回の作業に貼り合せるウロコが、1~2枚しか作業できないとは。。。「人の一生は重き荷物を負うて遠き道を行くが如し」だね。

MODEL-J3

せいぜい20枚ほどしか採れなかった最高に良い柄のピースを、頭から首にかけてなんとか埋める事ができて、ひと段落。
ウロコのすき間に、メイプル粉を入れてみて、何色で残そうか思案中。明るめの色がいいのかな。
どう出るか判らなかったものが、仕上がるにつれ「なるほど、そうなったか」と、思惑と悪かったり良かったり、毎度新鮮な思いができる事と、それを見て次の策を練るあたりが、インレイの魅力でもあるね。

MODEL-J3

図案ではそんなに感じなかった雲の占める面積が大きく感じる。仕上がるにつれ、なんだかもっとウロコ貼ってやろうか? な~んて気にもなったり。。。
そんな事よりも、雲の先端(背景に溶け込む)部分の描写・・・どうしよぅね。。。たいしていい案もなく、保留のままズルズル来てます。
今更、ウロコとの境に全部、黒いパーフリングを入れるなんて、やっかいだし目立ちすぎるってのあるしな。。。

MODEL-J3

何度か書き換えた前足部分。
いよいよウロコの貼り付けが迫り、この下絵で覚悟を決めました。 雲に助けられたのやら、邪魔されたのやら・・・
肩から始まるウロコの感じも、現物見たことないから、よぅわからん。
タトゥーの本はもちろん、トカゲや恐竜も検索してみた。。。太さ、角度、バランス・・・余計に迷いの 元になっただけだったかも。
怪獣っぽい?
また足の背後にはシッポが交差していく。ゴチャゴチャして適度にゴマかされるだろう事を期待っ :P

MODEL-J3

作業風景を撮影。
拡大鏡を覗き込む中腰姿勢は、けっこうキツいです。
毎夜「うぅぅ固まった~!」と、背筋を伸ばし ながら、クルマになだれ込むように乗り込み、安堵感と次回の妄想に浸りながら帰路につく日々が続いています。
今またテンションが上がってるからねぇ。なぜかって、また自分のきらいな言葉"毎晩呑んでます自慢"や、"病気自慢"を聞かされましてね。「それがどうした小僧 !」と、アンチパワーに火が点いたと言ったところでしょうか。
いや、まぁ「生きているうちに完成させたい」という気持ちが強いです;P
さらに次の作品(J4)の装飾案を思いついてしまい、一生のうち趣味に費やす時間の予定が埋まってしまった重圧もあります。。。最後の作品だ、がんばるぞぅ~ 夜な夜な安酒飲んで酔うだけの人生で終わりたくないからねぇ。
ま、そっちはバブル期に十分楽しんだし。何事も飽きは来る。

MODEL-J3

胴体の一列が完成。
最後の最後まで、前足の位置を書き直した為に、このパートは思案に掛かった時間の方が長かったと思います。
ウロコのすき間には、メイプルの粉を入れて、いろんな角度から眺めて見ますが、そのラインの色は未だ思案中です。

MODEL-J3

今までの胴体のウロコに比べ、前足はいきなり三分の一程度のサイズに落ちたので、まぁ難度が高い事。。。
龍の足の裏って、どうなってんだろ・・・と、解決しようも無い想像をしながら結局、腹の部分と同じ柄の貝を採用。ちと単調だったかな。。。
え? 統一感があって、それはそれでいい? じゃ、そういう事に:D
な~んて、しょうも無い事言ってたら、バンドソーが壊れて、この状態で作業はストップ :(((((
しかも、消耗部品が生産中止・・・どうする。。。

MODEL-J3

足の仕上げは保留して、胴体の折り返しに移行。
この列は最大サイズのウロコを敷いていきます。
また、あぁでもない、こうでもないと、並び替えで数日が過ぎます。
曲がりの大きいパートなので、ウロコの変則的な切り出しが、うまくいくか心配です。
左側にハイライトを入れてみたいので、首辺りの柄とは違った変化が、自然に出るように祈ります。

MODEL-J3

このパートは、胴体にかかる「雲のライン」を表現しますので、ウロコの柄も併せて判りやすく変化をつけたいですね。
黒いラインは、ペイントを使用したくなかったので、0.8ミリのミゾを彫って黒色のバインディング材をアセトン接着(溶着)しました。にじんで、いびつな太さのラインになってしまった。。。どうせなら、もっと太さのメリハリがあってもよかったねぇ。
黒蝶貝のシルバーに輝くピースを、ここでやっと採用できそうです。
むぅ、なんか全体の色彩が薄い。変更要す。。。

MODEL-J3

クラデーションをつけてみましたが、このパートは、見る角度で色・輝きに、ずいぶん変化がでるようになりました。
お盆すぎも、コツコツとやってましたから、振り返るとけっこう進んできましたねぇ。逝ってしまう前には完成しそうな気配です:D
いや、このギター、仕上がるんか? と、一部で噂でしたから。。。
山場は越えたんじゃないか? このペースでがんばります。

MODEL-J3

胴体をくぐる位置まで到着。
このパートは、首のウロコとは違う一般的なアバロンを採用したので、明るめになりました。
シルバーとグリーンも入れましたので、全体的には多彩になって、ホッとしてます。
この後の折り返し作業は、さらに小さなウロコの連続です。マラソンで、「来たか上り坂!」ってな気分です。
面積は少ないぞっ、気合だ~

MODEL-J3

一番奥のシッポ辺りは、黒蝶貝も使って影を入れてみます。
彫り込みエッジの、いびつな形状のピースには、いつも泣かされます。
仕上がったら、誰もそんな細かいところ見ないのにねぇ。。。
作業途中の前足に目が行ってしまうと、先の苦労を想像して萎えますので、見ないように見ないように作業します。

MODEL-J3

上の画像の、ピンセットでサイズを合せて見ていたピースの、削り出し風景。
たまには、手元の写真も掲載。見えますかねぇ、 はさんだ先の細いピース。。
ちょっと強めに削ろうとすると、くるんっと逃げていくんですよ。。。そして結構な割合で、「ピヨォ~~ン・・・」て。
「はっっ!」と、落下音を聴くその瞬間の聴力は犬並みに上がる気がしますが・・・聴こえるはずもなく・・・
数々の紛失で、少しだけガマン強さが・・・少しだけ・・・ついた気がします。;P
さすがにこのサイズの切り出しは、白い粉にまみれたとしても、いつもの掃除機はストップして作業します。
ええ、何度かしましたよ、掃除機の中身探索。。。吸い口に網でも張っとけって話。

MODEL-J3

ぴたりハマると、ご満悦 :D
関係ない話ですが、HULUで、久しぶりに "肉体の門 (1988年作) "を観ましてね。
年を重ねて再度観ると、また印象も違っていいもんです。すっかり今、作業中の鼻歌は、そのエンディングソング "星の流れに"です。
荒む~心でぇ~いるのじゃないが~~♪

MODEL-J3

こんな~女に~誰がした~♪。。。ふんふん~♪・・・ん?!
左右に分割したウロコの片側、サイズが違って飛び出てるやん!!
調子に乗って見落としてたっ。

MODEL-J3

ゴシゴシ・・・こういうマメな修正も、たまにしている事をアピール:D
いびつなのも、それがアナログの良さと言えばそれまでだ けど、時々後悔センサーが働いて、スルーできない部分が修正される時、作業員から指導員に頭が切り替わる瞬間でもあって、とかく惰性で押し切ってしまう手に、アラームが入って助かっています。

MODEL-J3

さて、龍の仕上がりにゴールが見えて来た事もあり、構図全体のバランスを見るためにも、のぼり龍が望む富士山の配置に かかります。
トラ杢にそって、雲に見立てたラインを少々入れてみます。
富士山と月に採用した黒蝶貝は、かなりの数を採取した中から、唯一このピースだけが意にかなうモノでした。
ここはあえて細かく組み合わせず、大きなひとつのピースを思い切って配置してみました。
本当はもっと雲の様子をにぎやかにスケッチしていたんですが、周りの意見も頂いて、シンプルに振りました。

MODEL-J3

富士山の中央下部の紫の木は、パープルハートという材種で、左右のすそ野は、薄い黄色に染めたアッシュの木目に黒いステインを 入れたモノを採用しました。貝の代わりに木を埋める木象嵌(もくぞうがん)と呼ばれる方法です。
ギター本体のトラ杢を眺めていて、雲の中に舞う龍の絵柄を思いついたように、このパートでは、このピースが採れてこそ具現化できましたので、
「素材からインスパイアされてモノを創る」事は、自分への挑戦でもあり、とてもいい経験になると思いました。
皆さんにも、ギターならずとも、豊富な木目を持つ木材を使った木工をお勧めします。
一生の趣味にもなりますしね。

MODEL-J3

そして、龍にとりまく雲のラインを彫りました。
刃先をスベらせてしまったら、おしまい。冷や汗ものです。。。
カッター1本、ブレる指先をコントロールしながら堅いメイプルを刻む事は、想像以上に大変でした。
この溝にカラーパテを入れてラインを描くことにしました。

MODEL-J3

いよいよ、ウロコのラインの色を決める段階になったので、メイプル粉を入れた仕様と、紺色のラインを配置して写真を撮り、ギター色はオレンジに画像処理して比べてみます。
小麦粉を入れて、真っ白なラインも試してみたけど、目立ちすぎて却下。。。

MODEL-J3

こちらは紺色のライン仕様。
やっぱり、ウロコが引き立つ明るめのラインの方がいいかな。。。。

MODEL-J3

さぁ、いよいよラストのパート。
5月から日々作業して半年。
その前2年もサボってたのに、鋭意取り組んだらまずまずの期間で形になってよかった。。。

MODEL-J3

ついに、この時が。。。 ラストパートは、色彩にチカラを入れた事もあって、満足できるグラデーションになりました。
これで、インレイワークは終了っ! もう貝を加工する日々も終わり。どっと肩の荷が降りました。
休憩の方が長かったので、3年越しとはいえ、最初の志気を今でもはっきり覚えてます。
やるしかない、いや、できるできる! そんな意気込みでね。。。
生きてるうちに仕上がりが見えてきて、ほんとよかった:D
さ、まだまだこの後の作業も難関が待ち受けていると思われる。よ~く段取りを練ってと。。。

MODEL-J3

龍にとりまく雲のラインには、マホガニー色のパテを埋めます。
このラインの上にも、オレンジのステインを塗りこむので、結果的にはもう少し濃い色に決まると思います。
線が細いので黒色だとしても、たいして見た目の違いは無いかもしれませんね。

MODEL-J3

ラインのパテ埋めが終わって、今度こそ本番、ところが未だ決定していないウロコのすき間の色に苦戦です。
金銀、ラメの絵の具材を仕入れて、テストの連続です。
普通の絵なら、黒いラインが当たり前に使えますよね。。。
インレイの場合、異なる色の配置が必要と思い知りました。。。さらに、背景になるオレンジステインとのバランス・・・うぅむ・・・絵心無い!

MODEL-J3

そして、迷子になってシルバー絵の具とパテを混ぜて、埋めてみたところ、大失敗。。。地味~。。。それに発色悪い!
真っ白なラインに、かなう色は無いもんかな・・・
タトゥーで見慣れたせいか、肌色の背景に肌色のライン。単純明快、バランスいいのよねぇ、アレ。。。
かと言って、ギター(背景)をナチュラルのメイプル色のままにする事は頭に無い。

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パテに混ぜ物をしたせいで、硬化が遅れていてよかった。。。そそくさと、シルバーパテを剥離しております。。。 (前足など画像左側の白色ラインは、小麦粉を入れてテストしたままの状態です)
メッキ光沢が無い限り、金銀は逆に地味かもね。。。相手が貝じゃ・・

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主張し過ぎず存在感があるのは、やはり白かメイプル材のクリーム色。
そこで思い切ってクリーム色を埋めてしまいました。
あとで着色するなどして、なんとでもなるはず。。。
いやぁ、ここでこんなに思案させられるとは思わなかった。。。
早くインレイの上からクリアーレジンを盛らないと、その乾燥には軽く1-2ヶ月は要すると思われるので、 塗装に掛かる前に、その一番期間を要する工程と冬シーズン到来の二重苦に焦っている次第です。。。
それに、たんざくと、文字も入れたいしな・・・と、作りながら帳尻を合せていく、いつもの生みの苦しみに悩んでおります、2012年11月。

レジン盛り前の重量、1,320グラム/ミディアムボディ。1,500/ディープJ2ボディと比べると悪くない数値。

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浮世絵に使われていたようなフォントが見つからなかったので、フリーで落としたフォントで、練習がてらタイトルを彫って見ます。
世界から見た日本は、名の通りファー・イースト。という事で、極東と題してみました。
プレーン・メイプルの板を、丸ごと埋め込むというA案で進んでおります。

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彫った溝に黒のパテを入れて仕上げた板を置いて見ます。
少し、大きいかな。。。配置は大丈夫かな。。。と、バランスを見ながらイメージを膨らませています。

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うぅむ。。。やっぱり、浮世絵でみるフォントと違って、「かっちり」しすぎかな。。。
手書き行書で、か細い感じが当時の味わいを醸し出す。その文字も、古き良き「日本」を感じさせる重要なファクターになると感じています。

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カッター1本、ぶっつけ本番。息も止まる作業でかなり緊張。
マッチするフォントを見つけ、プレーン板を埋める案を変更して、直接ボディに掘り込みました。
どうしてかって、やっぱりせっかくのトラ目が惜しいので、杢を活かす方法を選ぶ事にしました。

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そのままシンプルに黒いラインにすればいいものを、間にパールを入れてみたところ、なにか違和感。。。策を練るとします。。。
細く、たとだとしい雰囲気が出て、まずまず。まぁ、世界に向いて制作しているつもりもありますから、何はともあれ、日本らしさは間違いなくあると思いますし、意味がわからなくともいいんです。

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ジャムのアテ字と、印を施します。
まぁしかし、画材屋なんてところに足を運ぶと、たかだかこの赤色を選ぶだけでも、種類があって相当な時間、にらめっこが始まります。
制作年月も入れたほうがいいかな。。。

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インレイの上にレジンを盛る前に、ステイン漏れが出ない様にベースのオレンジステインを1回塗布済みです。
この時期、暖めないと粘度が高いおかげで、マスキングもせず盛っていきます。
乾燥してもほとんど肉痩せが無いレジンですが、その乾燥には最低40時間から、完全硬化まで1週間を要します。。。

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レジンの初期乾燥を促進するために、適した室温20度以上をまる2日維持する事はこの時期困難です。ここ1~2日、水平にボディを保管したとき、盛りが動いて偏りが出ないことを祈ります。。

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3日がかりで、レジン盛りを終えてまた一息。。。もう少しやね。本当にもう少し。
あれだけ悩んだウロコのすき間の色も、レジンを吸い込んでトーンダウン。。。目立たなくなった。:(
古くさい色になったといえば、そう見えないでもない。ま、いいか。。。:D

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極東八景(Eight Great View Of Far East)

文字の背景色は、ウォルナット・カラーのステインで着色してあります。
一応、名の通った木材の色を採用すれば違和感が無いかと。
どの道、フレイム杢があることで、単色ベタ塗りとはかなり違う背景色になりますね。。。
ギター本体の色が、この後もっとオレンジになりますから、タイトルとの色の差は、もう少しはっきりしてくると思います。
このタイトル背景色の色塗りテストで意外とダメだったのは、メイプル素地のままの色を残す事でしたよ。。。予想と違うもんですねぇ、ものごとっていうのは。

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さて、ボディはレジンのシーズニングに寝かして、次はヘッドのインレイ作業に取り掛かります。
図案はすでに構想が固まっていたので「生みの苦しみ」は、無し。あとは、具現化するだけです。
シンプルにいきますので、貝の柄にだけこだわってみます。
すべてアバロン(メキシコ貝)で切り抜いています。奥から順に説明。
1. 葉っぱのような柄のもの。
2. ある角度から見る時のみ、他のモノより輝きが鋭いもの。
3. 貝の表の柄を使ったフレイム模様の部分。
4. そして採用する事にした、荒いフレイムの入った部分。 これらも、さんざん削った素材の中から、唯一ピックアップできた部分で、木材にも言えることですが、ポンと買ってきたような素材からでは、いいモノは拾えないと、つくづく感じます。
1つ必要なものを、それこそ100個買って、その中から選定しても、 候補になるモノは、ひとにぎり。そういう事です。
そして、人の理解しかねる物事に労力とお金を費やす。それこそが趣味の醍醐味だとも思います。

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貝のパーツがそろった所で、他に必要な素材。
先日、仲間が集まってきた時、意外にこの素材が何であるかを知りませんでした。
シルバー装飾や、レザークラフトでも良く見かける素材です。
エイの革です。鬼太郎に出てくる白いアレとは違います。。。
表面のつぶつぶはハサミではカットし難いほど固く、それは人間のツメに近い感触ですかね。
表面の黒色を削ると、中の白色が出てきます。

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デザインは「日本」らしく、刀の握り部分をモチーフにしてみました。
当時もこのように布を巻いたグリップにはサメ革と呼ぶエイなどで装飾されているようです。
そして本当のサメは当時、フカとかワニと呼んでいたみたいです。
世界にも名の轟く日本刀は、木製のグリップにザラザラとしたエイ革を貼りさらに紐を巻いて、二重の滑り止めが施されていたようです。
先祖の英知を再認識しましたねぇ。古き良き日本の芸術を一番知らないのが当の日本人だったりして。
知れば知るほどすばらしく、世界に誇れるものだと感じます。
ちょうど、この菱の形状がまた50sの代表的なモチーフの、アーガイルと呼ばれる" ダイアモンド・パターン " と同じで、日本/アメリカ、2つの意味を成すというラッキーな結果になりました。(勝手に言ってるだけですが。。。)

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今回の家紋インレイやデザインは、浮世絵の時代(江戸)に合わせて、そのパーツの精度は幾分手を抜いています。
もともとフリーハンドですが、機械でカットしたような精度では少々ミスマッチと感じます。
そのパーツの配置も少しズラして組む事で、当時のアナログ感が出たらうれしいですね。
ただ、すごい違和感というか、わざとズラすという作業は、ほんっと気持ち悪いです:D

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各パーツの接着を終えた後、エッジのバインディングを貼り終えています。
そしてレジンを盛る前に、周りを着色。
ボディ色より、少し濃い目のステインにしています。これはグレッチ好きな皆さんには、もうお判りの手法です。
レジン在っての今回のすべての装飾。この手法、邪道でしょうか? マルでしょうかね? :D

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レジンを盛って、完全乾燥までしばらくシーズニングに。
家紋のフレイム模様が、うまくヘッドのフレイムにマッチ。 思惑以上の出来に、感激。
これで、ヘッドインレイ、ヘッド、指板、ネック、ボディ、すべてにフレイムが入った、まさしくオール・フレイムス達成 :)
2012年も、あとわずか。次回2013年にお会いしましょう~

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いよいよ苦手な忍耐を要する塗装工程に入ります。
まずは、いつものステイン剤で生地着色です。
過去の着色具合いを思い出してみると、やはり今回も薄めの着色にはなりましたが、満足できる色目で、まずは安堵。
バックはすでに一度着色していましたが、トップより素地の研磨を細かくしていたので、着色がハネて、より薄い着色だった為、もう一度ネックと共にステイン着色しました。

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2度の塗り込みでも、薄めですねぇ。 あとはシェラックのクリアイエローで、どの程度深みを加えられるかに係っています。
水平にビシッと、通ったフレイムではないですが、悪くない表情だと思います。ギブソン335にありがちなフレイムには見えますが・・・

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そしてこの晴れ模様の少ない2月、天気の良い日にすかさず塗装。。。
シーラー替わりのシェラックをスプレー塗装。 毎度このシェラックは、違う製品を仕入れています。
今回、濃い目の黄褐色のモノを選んだその理由は、より薄い塗膜で求める黄色が得たいという目的からです。
それに濃い目のシェラックは、単調なイエローに、深みを増すと想像していますので。

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2度のシェラック塗装を終えて、できるだけ長い時間、乾燥させます。
いやぁ、何年ぶりかのスプレー塗装。 とてつもなく、ヘタになってました。。。
この時期(2月)、終日気温20度を保つ事は難しいので、しばらく放置でまさに、骨折で入院したときを思い出す、「日にち薬」とは、この事です。。。

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日光の強い時の写真で、この明るさのオレンジですが、屋内で見ると、すごく赤っぽいです。
あ、ギターを吊り下げているのは、エンジンクレーン。高さも変えられ役に立ちます。

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大失敗!

研磨をはじめたところ、レジンの盛り方がいい加減だったせいで、境目に多くの素地部分が。
これは、想像できた点で、シェラックのタッチペンで埋めて、ほとんど違和感が無くなる予定でいましたが、いかんせん箇所が多い。。。
それに、手塗りはかなりの塗り重ね回数を要します。。。
今更ながら、マスキングしておけばよかったと後悔。作業したときは、逆にマスキングテープがレジンと、密着して剥がれなくなる事を恐れていたんですけどね。。。

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すでに上の画像で、サンディングの痕がついているのは、すでにあきらめてバック全体の研磨に取り掛かったからです。。。
やばいね。。。ただでさえ、一度研磨してツルツルに整えたバックに、インレイを施して、レジン盛りの前にも更に研磨。 そしてまた失敗で荒めのペーパーで再研磨・・・バックの1ミリつき板は、今いったい何ミリに~?
レジンの硬さを考えれば、最初からこの工法が、一番よかった事を学習。。。
この際だ。レジン盛り部分のアーチを気兼ねなく研磨修正しよう。ゴシゴシ・・・180番のペーパーでやってます。
絶賛ヘコミ中・・・

MODEL-J3

研磨終了後

フレイムの強い素材は目地の荒れも多く、本来は先にシーラー処理が要りますね。
先に作ったギターJ2も、「なるべくなら余分なモノは、塗らない」方式で、音の為と手間を省く意味でシーラーは使いませんでした。
このJ3は、荒れの少ない甲板をトップ材に採用したので、トップはシェラックの中塗りで、充分平滑が出たのが救いです。
この塗装研磨の作業は、現行モデルの色はぎ以来で、懐かしかったです。。。

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ステインから、やり直しました。

さて、研磨で平坦になってしまったインレイ。
境目のマスキングは複雑なラインで、精度を必要とします。
そこで、いろいろと検索して手に入れた、このマスキングジェル!モデラー御用達:D
おおまかにマスキングテープで養生した後、グリーンの部分がこのジェルを塗布して乾燥した状態です。
ラインをはみ出て塗布しても、乾いたらカッターでライン通りカットすればいいですから、とても便利。
テープより、はるかにカットしやすいので、木地も痛めません。
まぁ、最初からこの製品を検索していれば、やり直しは無かったんですけどね。。。

MODEL-J3

特に、こういった細く、曲がりくねったマスキングには、このジェル様、大活躍!
あとは、成形されたフィルムがこの上に乗る「シェラックに負けて、はがれない」なんてことが無い事を祈ります。
シェラックは固まると硬いのに比べて、フィルムは薄く弱々しいしいだけに、ヤ~な感じ。。。
シェラックをなるべく薄めに吹いて、研磨を少なくして・・・なんて、塗装工程でさえ、考える事がいっぱいです。
ギター本体の制作でも頭の中はいろんな事が渦巻いてますが、「段取り8割、実行2割」とは、よく言ったものですねぇ

MODEL-J3

そしてシェラック塗装。
30分後、慎重にマスキングを剥がしてみます。
おぉ、十分強度あるね、このフィルム。
マスキングをはぐと、どうしても部分的にエッジの塗装を一緒に剥いでしまうものですから、2度以上塗り重ねする際は、その都度マスキングをやり直す事が、少しでも失敗を減らす為の策になると思います。
手間を惜しまず丁寧に。。。とは実際面倒なもの。。。
2度塗りの前に1日乾燥させます~

MODEL-J3

大失敗パート2!

すべて剥離した時の、木地のチェックが甘かったとしかいい様が無いです。。。
一番最初からのステインが導管に残っていて、その上からやり直しのステイン剤が重なって、完全に目立ってしまい、アウト!
セラックを塗ったら隠れると思っていたら大間違い。目立って仕方ない。。。

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いたるところに導管のステインが目立って、とても見苦しい状態に。。。
ぅぅぅぅぅぅ・・・また剥離?

MODEL-J3

剥離剤も使用して、再度ハダカに。。。
塗装と、剥離と言う両極の作業を。今回は、どうしたんだ自分!
ただでさえ薄くなっているバックのツキ板。今度こそ最後、ビビらず皮1枚削って真っ白な地肌を出します!

MODEL-J3

それに加え、セラックの製品を変えたのでトップとバックが、微妙に色が違う。ええい、オール剥離だ!塗装は一からやり直しっ

MODEL-J3

すべて剥離。
導管を埋める為に、木地にシーラー塗装を追加しよう。
ご覧の通り、剥離剤では、ステインは取り除けませんので、サンディングで木地を出し、ステインからやり直します。
そしてもちろん、ヘッドとバックは液体マスキングでセラック塗りです。

MODEL-J3

そして、シーラー、ステイン、セラック再塗装までの画像をイッキに飛んで、トップコート2度目の状態。
導管の汚れもほとんど削除されて、当初よりちょいと明るめの、満足な色目になりましたとさ。。。

塗装とは普通、一度で決めたいものですが、下地が悪かったり色も気に入らなかったりで、メーカー品のように完璧に仕上げるのは至難の業です。。。しかしこのラッカー塗装、剥離も容易ですので、「急がば回れ」、修正に時間を取られるくらいなら、思い切ってやり直しする事が一番だと、勉強させられました。。。
「振り出しに戻る」という気持ちの入れ替えが難しいのが人間ってもんですねぇ。

MODEL-J3

ふぅ。。。結局バックの剥離を二度も。。。
結論: 塗装は下地がすべて。。。

鑑賞で引き立つように、いつもより厚めにクリアコートを重ねてもいいかなと思っています
今回のクリアラッカーは、玄々科学の製品を使用しています。
前に使った製品より、初期乾燥が速くて、やたらとツヤがええですね。。。
作業性がよくて気に入りました。スプレーになった製品もありますので、フェンダー製のネックの再塗装等にお勧めです。
一度目のトップコートに、スプレー製品を使ってみましたが、グレッチほどのボディの面積には、少々噴霧幅が小さく、均等な塗り重ねという面で不安があったので、結局2度目からガンで吹いています。
確かに製品名自体、「タッチアップスプレー」です。。。

MODEL-J3

インレイは角度を変えて観ると、いろんな表情になります。
ラッカーの乾燥待ちの間も、しばし鑑賞 :D
その間に、試してみたかったペグやハードウェアを購入するとします。

















ついに完成しましたねぇ。J2とのショット。
まだ組上げたばかりで、音は本領発揮とまではいきませんが、その生音は固めの音のJ2と反対方向の、 軽くて響きのあるトーンを持っています。
またオフ会でも開いて、意見を聞いてみたいですね~

Model J3
Body : 16inch, 64mm Midium deep
Machine Heads : GOTOH SD510-H.A.P.M (Height Adjustable Post with Magnum Lock )
Pickups : Tv.Jones Classic
Tone Switch Capacitor : MOD Oil Film 0.0039/0.012μF
Bridge : POPTUNE PTB101R T.O.M Type with Roller Saddle
Trestle Bracing : Red Cedar
Neck Set Angle : added an angle 0.5°more than usual ( Height of Bridge 27mm)
Paint : All Lacquar Finished
Weight : 2,990g


Ty for watching.
just finished.


その後...2014年5月

ギターJ3をブライアンにプレゼントする事ができました!
Brian Setzer Orchestra 20th anniv Tour at Nagoya Japan. 15th.May.2014

とかく物事は東京で動くところ、常々願っていた名古屋でコトを起こせた事は、すべては幸運により達成できた事も相まって念願かなって喜びもひとしおです。

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